現実社会の不安を直視

nakatomimoka2014-01-08

荒木飛呂彦さん。「不安やスリルは誰の心の中にでもあるものだから、そこに蓋をして、あたかもないように扱う方が不自然です。僕自身は、ひたすら幸福な、サスペンスのない映画だけ観ている方が、ずっと不安に感じます。観ている間は楽しかったとしても、観終ったあとには『げっ、イヤなところに戻ってきてしまった』という幸福な夢から覚めたような虚脱感があります。それよりもサスペンス映画の描く不安にきちんと向かい合って、どこの世界にも不安はあるし、それを感じているのは自分だけではないのだ、と共感した方が、ずっと癒されます。少し大きな話ですが、なぜ世界にたくさんの物語が存在して、その多くがただ幸福を描く話ではないのか。それは負や暗黒面を描くのが、物語の果たすべきひとつの役割だからだと思います」幸だけを描くのでなく。