ウケればいいのか

nakatomimoka2016-05-08

柳家花緑さん。「二つ目時代なんかは、ウケたいという気持ちが全面に出ていたと思います。それは真打になってからも続いていましたね。そんな私に釘をさしてくれのたのが、小三治師匠でした。私は昼の部で『明烏』を高座にかけていました。これがお客さんにやたらとウケた。そうして気分よく高座を下りた私に、小三治師匠が言ったのです。『おまえはウケさせようと思って演っているのか? だったら別に落語じゃなくてもいいじゃねえか。聞いててもまったく景色が見えてこねェ』正直、そのときは納得できませんでした。しかし、ようやく気づいたのです。小三治師匠が言いたかったのは、『もともと噺は面白く作られてるんだから、登場人物をちゃんと演じて、そのやりとりでウケさせればいい。落語は本来そういうもんじゃないのか』ってことなのだと」ウケより。