池谷裕二さん。「『単純接触現象』といって、長時間接しているほど好きになるという脳の性質を示しています。結局、近くにいる人はよく接しているから好きになりやすい。これはかなり根強い現象だと思って貰っていいです。ところが、話はそんなに簡単ではありません。実験で視線の動きがありますよね。つまり自分から積極的に視線を動かして見に行かないといけない。一方、同じ場所で写真を入れ替えると、ずっと真ん中に視点を置いておけば、勝手に写真が入れ替わってくれる。こちらは受動的なんです。視線を動かすかどうかがポイントなのです。視線を動かすことによって感情が引きだされるらしい。『私がわざわざ視線を動かしてまで見に行っているんだから、それだけ魅力的な人に違いない』というふうに脳は解釈する。『錯誤帰属』と呼んでいいでしょう」視線。