趣味とは何だろう

國分功一郎さん。「『好きなこと』という表現から、『趣味』という言葉を思いつく人も多いだろう。趣味とは何だろう? 辞書によれば、趣味はそもそもは『どういうものに美しさやおもしろさを感じるかという、その人の感覚のあり方』を意味していた。これが転じて、『個人が楽しみとしている事柄』を指すようになった。ところがいまでは、『趣味』をカタログ化して選ばせ、そのために必要な道具を提供する企業がある。ジョン・ガルブレイスは1958年に著した『ゆたかな社会』でこんなことを述べている。現代人は自分が何をしたいのかを自分で意識することができなくなってしまっている。広告やセールスマンの言葉によって組み立てられて初めて自分の欲望がはっきりするのだ。高度消費社会においては、供給が需要に先行している。いや、操作している」趣味。