没頭することを渇望

國分功一郎さん。「アレンカ・ジュパンチッチが、大変興味深く、そして、大変恐ろしいことを述べている。人は自分を奮い立たせるもの、自分を突き動かしてくれる力を欲する。なのに、世間で通用している原理にはそんな力はない。だから、突き動かされている人間をうらやましく思うようになる。例えば、大義の為に死ぬことを望む過激派や狂信者たち。人々は彼らを、恐ろしくもうらやましいと思うようになっている。だれもそのことを認めはしない。しかし心の底でそのような気持ちに気づいている。生きているという感覚の欠如、生きていることの意味の不在、何をしてもいいが何もすることがないという欠落感、そうした中に生きている時、人は『打ち込む』こと、『没頭する』ことを渇望する。大義の為に死ぬとは、この羨望の先にある極限の形態である」没頭。