店に付与された観念を

國分功一郎さん。「浪費はどこかでストップする。それに対し消費はストップしない。例えばグルメブームなるものがあった。雑誌やテレビで、この店がおいしい、有名人が利用しているなどと宣伝される。人々はその店に殺到する。だれかに、『あの店に行ったよ』と言うためである。当然、宣伝はそれでは終わらない。次はまた別の店が紹介される。またその店にも行かなければならない。『あの店に行ったよ』と口にしてしまった者は、『えぇ?この店行ったことないの?』と言われるのを嫌がるだろう。だから、紹介される店を延々と追い続けなければならない。これが消費である。消費者が受け取っているのは、食事という物ではない。その店に付与された観念や意味である。この消費行動において、店は完全に記号になっている。だから消費は終わらない」記号。