人生楽ありゃ苦もあるさ

内田由紀子さん。「バランス志向的幸福は、さまざまな形でわたしたちの物の考え方に影響を与えている。自らの人生だけではなく、他者の人生や出来事に対する予測にもバランス志向的解釈がみられる。『幸せすぎるとそのうち良くないことが起こるのではないか』という理解が定着しているのも、文学や芸術の表現の中からそうした部分に注目してきたからかもしれない。かつて時代劇の『水戸黄門』で歌われていた『人生楽ありゃ苦もあるさ』というフレーズが思い出されるが、河合隼雄の書籍『こころの処方箋』においても、『二つ良いこと、さてないものよ』と述べられ、東洋では人生の苦を乗り越えていくために、こうしたバランス志向が生み出され、さまざまな場面に応用されている。陰陽志向は物事の変化予測に影響を与えるという」涙の後には虹も出る。