タレ焼きと塩焼き

岩本一宏さん。「焼き鳥には、タレ焼きにしたほうが美味しく食べられるものと、塩焼きにしたほうが美味しく食べられるものがある。素材がよいので、すべての串を塩焼きで食べたいというお客さまもたまにはいらっしゃたが、ウナギを塩焼きでは食べないように、タレ焼きにしてこそ、その素材の旨味が充分に発揮されるものがある。私の店では、コースで焼き鳥をおすすめしていたが、タレはタレ、塩は塩であって、お客様の好みで焼くことはしなかった。完璧に焼いてお出ししていたので、ご自分の好みで召し上がりたい方は、どうぞ他店へ行ってください、という心構えである。塩焼きにする塩は、自然塩の精製塩。原塩はにがりが強く、旨味を損なう。一方、精製すればするほどにがりがなくなり、味のない塩になってしまう。最も肝心なのは、塩の粒の大きさ」塩。