オリバー・バークマンさん。「現実のスピードを速めたいという欲望は、人々の読書体験にも現れている。ここ10年ほど、本をよもうとするたび、『没頭できない』『気が散って仕方ない』と強く感じる人が増えてきた。この感覚も、実は一種の焦燥感だ。読書という時間がかかる行為に対して、『もっと早く終わればいいのに』という不満をどこかで感じているのだ。実際には、時間はあっても、読書に気持ちを集中できないだけだ。忙しすぎるとか、注意散漫だというのは言い訳にすぎない。本当はただ、読書には時間がかかるという事実を受け入れたくないのだ。無理に急いで読もうとしても、意味がすり抜けていくだけだ。何かをきちんと読むためには、それに必要なだけの時間がかかる。それは読書だけでなく、嫌になるほど多くのことに当てはまる事実だ」それでか。