藤平光一さん。「いったい、植芝先生と自分の技ではどこが違うのか?そればかりを真剣に観察しているうちに、リラックスということに気がついた。植芝先生の技で肝心なことは、先生が会得したものこそ、現代でいうリラックスだったという事実だ。氣を動かすことを知らないまま、体技、型だけの合気道を稽古していても、まったく意味はない。本当に相手の心を読み、氣の流れを読んで技をかけたなら、絶対に相手は抵抗などできない。それは間違いのない事実なのだ。植芝先生は相手に抵抗させないようにと、常ににこにこと笑う無邪気な人だった。子どもっぽいところがあり、それでも通ってしまうところがあった。いや、そういう印象を与えられた時点で、すでに相手は植芝先生の術中にはまっていたのかもしれない」力を抜く。抵抗させる気を起こさせない。