アドレッセンスとの決別

nakatomimoka2015-02-20

内田樹さん。「僕はこの三作品に通じるのは、『少年期との決別』という主題だと思っています。少年期との決別は、男子にとって成熟のためにどうしても回避することのできない行程です。そこを通過しないと少年は『大人』になれない。でも、それは自分のなかにある、みずみずしく、幼く、野性的な何かを切り捨てることなしには達成できません。自分の弱さや危うさを克服すべき弱点としてみなし、幼児的なエゴイズムや無垢な邪悪さを抑圧することなしに、少年は『大人の男』になることができない。でも、これはいわば自分の一部を切り捨てることです。すごくつらいし、痛い。でも、やらなくちゃいけない。この『大人に脱皮することの苦しみ』を癒し、支援するために、太古から人類は『アドレッセンスの喪失の物語』をくりかえし語ってきた」この主題を。
(注:三作品『グレート・ギャッツビー』『ロング・グッドバイ』『羊をめぐる冒険』)