アタラクシア

小川仁志さん。「たくさん食べることができれば幸せだろうと思ってしまうのが人間なのです。実際に身体がそれを求めているのではなく、頭が求めている。これがエピクロスの見解です。人間の欲望というのは厄介なものです。自分のキャパシティを超えて、とにかく無限に求めようとします。でも、少し考えればわかると思いますが、人間の身体は有限です。にもかからわず無限である欲望に従って行動すれば身体が飽和して、壊してしまうのは火を見るよりも明らかです。一般にエピクロスの思想は快楽主義として知られています。ただ、快楽主義といっても、快楽をむさぼることを良しとする思想ではないのです。そうではなくて、快楽を満たすことでむしろ心の平穏を実現するのが目的なのです。その心の平穏のことを『アタラクシア』といいます」心の平穏による幸せ。