楽観的かつ適切に

内田由紀子さん。「また、人生にはさまざまなイベントが発生する。当然のことながら肯定的・否定的出来事も幸福感に影響を及ぼすが、一方で状況要因は幸福感に一時的に影響を及ぼすものの、長期的にみればその影響力は相対的に小さいとされている。要はどの…

幸福を感じる性格

内田由紀子さん。「どのような人がより幸福感を感じやすいか。たとえば遺伝的要因、パーソナリティ、モチベーションの持ち方、コントロール可能性の認知、感情制御などの個人差によって、幸福を感じる程度や、実際に幸福な状態を主観的に実現する程度が異な…

やらないことを決める

星野佳路さん。「時間は有限ですから、『やらないことを決める』。これがコツです。私の場合、必要でない会食はしない。自分が出たくない会議には出ない。そう決めています。予定表を見て、楽しいものが並んでいると結果的にパフォーマンスは上がるものです…

脱成長社会における幸福

内田由紀子さん。「協調性幸福尺度は日本だけでなく、他の国でも一定の妥当性を持っていることが確認されている。穏やかで人並みな生活、周囲との協調という概念は文化を超えて共有されている理解でもあることがわかる。拡大・成長する社会には北米モデルが…

協調的幸福尺度

内田由紀子さん。「筆者らは、日本的幸福の定義に基づく『協調的幸福尺度』を開発した。項目は以下の通り。1)自分だけでなく、身近なまわりの人も楽しい気持ちでいると思う。2)周りの人に認められていると感じる。3)大切な人を幸せにしていると思う。…

穏やかな幸福を

内田由紀子さん。「人生満足感尺度は『これまで望んできたものは手にいれてきた』など、個人の獲得に基づく評定が前面に出ている。もちろん個人的な達成は日本の幸福の定義にも含まれる。しかし日本では穏やかで、人並みの、また、自分だけではなく他者とと…

幸福の客観的指標

内田由紀子さん。「主観的指標だけでなく、幸福度調査には『幸福さ』を表すと見なすことができるような客観的な数値が用いられることがある。代表的なものに県別幸福度の調査がある。この研究においては社会経済統計の中から地域住民の幸福度を示していると…

はしご型尺度

内田由紀子さん。「主観的な判断には個人の『認知枠』が用いられる。そしてその認知枠は状況により変化する。(略)私たちの『認知のくせ』を正しく知ることにより、より妥当性が強く検出力のある指標や調査票を作成することも可能になる。たとえば『はしご…

人生満足感尺度

内田由紀子さん。「これまで北米で開発されてきた評価尺度を用いると、一貫して日本での評定は低くなることが知られている。人生満足感尺度とは、『(1)私は自分の人生に満足している。(2)私の生活環境は素晴らしいものである。(3)だいたいにおいて…

文化的気質と幸福

内田由紀子さん。「経済的にあまり豊かでない国群の幸福度の散らばり方はきわめて大きい。GDPが低くても幸福度が高い国は、南米・中米のラテンアメリカ系の国に多い。コロンビアやグアテマラなどである。経済的要因をコントロールするとブラジルやチリ、アル…

イースターリンのパラドックス

内田由紀子さん。「一定程度の経済水準に達すると、GDPの上昇と主観的幸福感は関連しなくなることは、『イースターリンの幸福のパラドックス』といわれる有名な議論の中で、1970年代前半に指摘されている。この理由は何か。第一に、人間の心には物質的あるい…

ヘとユの良いバランス

内田由紀子さん。「人々はヘドニアとユーダイモニアの両方を追い求めるものであり、その『良いバランス』が重要であるとされている。ヘドニアは現在の気分を良くするが、あまりにそればかりを追い求めると、時にはつらい気持ちを味わうことも必要となるよう…

ヘドニアとユーダイモニア

内田由紀子さん。「ヘドニアとユーダイモニアの二つは個人差として見ると、高く相関することが知られている。たとえば毎日快感情を感じている人ほど、人生における意味も感じているということになる。しかしこの二つは異なる概念である。快感情は人生の意味…

主観的幸福感

内田由紀子さん。「主観的幸福感を、短期的な『瞬間的・感覚的喜び』あるいは、『快感情』(これを古代ギリシャの『快楽主義・ヘドニズム』からヘドニアという)と、長期的な視点でみて人生における『意味』や『方向性』を感じること(これをアリストテレス…

幸福の定義

内田由紀子さん。「幸福はどのように定義できるだろうか。主観的な幸福感は、『喜びや満足などを含んだ、ポジティブな感情・感覚』として定義することができる。美味しいものを食べた時や、気持ちの良い温泉に入って一息つき、『ああ、幸せ!』と感じる時の…

2つのホルモンに違い

エイミー・カディさん。「力溢れる人と無力な人には、生理的にも、ある重要な2つのホルモンに違いが見られます。支配性のホルモンであるテストステロンと、ストレスのホルモンであるコルチゾールです。霊長類の群れの中で力を持つボスはテストステロンが多…

非言語行動に影響される

エイミー・カディさん。「私たちが他の人をどう判断し、他の人が私たちをどう判断するかに、非言語的な部分が影響するのは分かりますが、私たちが忘れがちなのは、自分の非言語行動に影響されるのは他人だけでなく自分もだということです。私たちの考えや感…

パワーポーズ

エイミー・カディさん。「重要な場面に臨む前に、身体を大きく使ったパワーポーズをとって、自分に働きかけてみましょう。プレッシャーのかかる大事な場面の前に少し時間を取って、できるだけ広いスペースを占めるような姿勢で自然に構え、自分にはパワーが…

人生の意味の哲学

森岡正博さん。「最近、『人生の意味とは何か』を正面から考えようという動きが、世界の哲学界で起き始めている。この哲学ジャンルを『人生の意味の哲学』と呼ぶ。人生に意味があるかどうか、あるとしたらそれはいったい何なのかというのは、人間が生きてい…

ぎりぎり達成レベルを

シーナ・アイエンガーさん「アインシュタインはこう言った。『問題を解決する時間が一時間あったら、問題を考えるのに55分、解決策を考えるのに5分費やしたい』と。アインシュタインの名言をもう一つ。『最大限の努力でぎりぎり達成できるレベルを見極める…

マジックナンバー7

シーナ・アイエンガーさん「24種類のジャムを見た人のうち、実際にジャムを購入した人がたった3%だったのに対し、6種類のジャムを見た人の30%がジャムを購入した。この結果は私が、予測していたことの正反対だった。ジャムの研究が発表された2000年以降、…

創造性を刺激する空間

シーナ・アイエンガーさん「創造性を刺激する空間について、二つのことが言える。第一に、気が散るものがなく、1人でじっくり考えられる場所があること。第二に、コーヒーメーカーや冷水機の周り、休憩所など、人と気軽に出会える場所があること。それだけ…

物理的空間と創造性

シーナ・アイエンガーさん「これはグーグルのオフィスだ。世界中の多くの企業が従業員の創造性を高めようとして、このスタイルを模倣している。この方法に、創造性を高める効果はあるのだろうか? 残念ながらそれを裏づける証拠は何もない。グーグル創業者の…

情報の洗い出しと共有

シーナ・アイエンガーさん「ブレストとは要するに、部屋にいる人たちの直接の経験をもとに、アイデアを出すことだ。『情報の洗い出しと共有』でしかない。あなたも、『今すぐアイデアを出して!』と言われたら、既に知っていることをもとに考えるだろう。多…

2023年を振り返って

1月と11月に検査で入院をした。1月と7月、身内に出来事があった。3月の別府旅行、9月の河口湖旅行のあと、10月に念願のパリ旅行で一週間滞在することができた。美術館を巡って、ビストロで食事をし、ブーランジェリーでパンを買って、エッフェル塔と凱旋…

ブレストは効果がない

シーナ・アイエンガーさん「実際、ブレストは効果がないという、明確な証拠が挙がっている! 社会心理学者のミヒャエル・ディールとウォルガング・シュトレーペは、ブレストに関する1987年の画期的研究で、参加者を4人ずつのグループに分けてブレストをして…

ブレストは創造的か

シーナ・アイエンガーさん「ブレインストーミングの基本ルールには色々なバリエーションがあるが、ここではIDEOのルールを見てみよう。1.量を求めよう、2.ぶっ飛んだアイデアを歓迎しよう、3.判断は後回し、4.他人のアイデアに乗っかろう、5.テー…

ブレインストーミング

シーナ・アイエンガーさん「正式な発想法としてのブレーンストーミングが生まれたのは、1938年のことだ。大手広告代理店のBBDOは、大恐慌で多くのクライアントを失い、経営の立て直し役に副社長のアレックス・オズボーンを指名した。オズボーンは新規顧客獲…

追求者と満足者

堀田秀吾さん「心理学の世界には、意思決定の仕方によって、人を、物事を選ぶ前に、時間をかけて幅広い選択肢を検討することを好む『追求者』、判断の完璧さよりもスピードを重視し、最低限の基準を満たす選択肢の中から早急に選ぶことを好む『満足者』とい…

挨拶をするだけで

堀田秀吾さん「大切にすべき人との関係を深める方法としては、『挨拶をすること』が挙げられます。挨拶が人間関係に大きな影響を与えることは、実験でも証明されています。挨拶をすることで、人は相手に『私はあなたの敵ではありません』というメッセージを…